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2007年 05月 15日
「東京タワー」と聞けば今はリリーフランキーさんの「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」が頭に浮かぶのですが、だいーぶ前に岡田准一と黒木瞳が主演の「東京タワー」という映画がありましたよね。
私はその映画を見た事がないのですが、原作はずっと読んでみたいなぁと思いながらなかなか読む機会がなく、少し前ですがようやく読む事ができました。 率直な感想は、 ・・・。 といったところでしょうか(-_-;) 基本的に江國香織さんの小説はどれも好きなのですが、このお話は少し例外かもしれません。 都内に住む大学生の透と、透の年上の恋人で人妻の詩史。 「恋はするものじゃなく、おちるものだ。」透はそれを、詩史に教わった。 年上の女性と過ごす甘くゆるやかひと時、世界はみちたりていた。 透から詩史への、尽きることのない想い。そして切ない想い。 そしてそんな二人とは対象的な透の親友の耕二と、耕二の年上の恋人で人妻の喜美子。 肉体関係が全ての2人の激しいひと時と、やがて訪れる恋の結末。 夫がいる年上の女性と大学生の少年の恋。 二組の対照的な恋人が繰り広げる恋の行方。 というようなストーリーです。 まず、どこが気になったかというと、仕方のないことなのかもしれませんが 映画を見ていないせいか、読んでいて岡田くんと黒木瞳が頭をちらついて集中できませんでした。 そして、大学生の透の現実感のなさ。 「待つのは苦しいが、待っていない時間よりずっと幸福だ」 という透の切ない気持ち、始終詩史のことを想ってしまう気持ちは読んでいるこちらも切なくなってしまうほどでしたが、 どうもリアリティがないというか、 ”本当に大学生の男子がこんな考えや行動をするだろうか” という考えが常に頭に浮かびました。 元々、江國さんの描く人物は不思議な雰囲気をもっていて、 今回登場している詩史はまさにその象徴的な人物であると思います。 「ふんわりとしていて、穏やかで、自分勝手で、さっぱり何を考えているのか分からない」 いつも読むお話であればこういった人物がストーリー全体の魅力的な部分になるのですが、今回読んでいて私にはこの”詩史”という人物があまり魅力的には映りませんでした。 その理由は、詩史の年齢が40歳であること。 そして、大学生の少年(青年?)と当たり前のように恋をし、また相手が自分に夢中になっていることを悟りながらも、決して離れようとはしないところ。 「40」という年齢で、あまりにも自分勝手な行動の数々と、子供っぽいところ、そしてとても傲慢であること。 これらがまだ20代の私には「魅力」として伝わりませんでした(*_*) この物語は誰のために書かれたのか、そのターゲットがかなりしぼられているように感じます。 おそらく、30代〜40代くらいの女性がターゲットではないでしょうか。 そして、その年代の女性が思い描く20代の男性が描かれているのではないでしょうか。 「女性が描く、”理想の”若い男性像」 それが全体に感じるので、リアリティのなさを感じるのかもしれません。 私が人妻になって、40代になった頃にもう一度読んでみると また違った風に感じることができるのかもしれませんが。。。(^^;) 全体を通して少し私には違和感の感じるシーンが多かったですが、 それでも、相手を想う切ない気持ちや、恋に落ちてしまう思いなどはすごく伝わり、読んでいるこちらも切なくなるほどでした。 また、現実として少しあり得なさそうではありますが、 「こんな風に男性に想われたらとてもうれしいだろうな」という風にも感じることができました。 機会があれば、もう少し年齢を重ねた後に読んでみようと思います(?)
by dora0622
| 2007-05-15 02:12
| 本
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